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罠8
男の頭を引っ掴み凪さんから引き剥がして、顔面に右ストレートを喰らわせる。
「凪さん!無事ですかっ?」
よろめいた凪さんを支え、怪我がないか確認する。
よかった。何かされた様子はなさそうだ。
そのまま彼を連れてここを出ようと顔を上げると、目についた男の持つものに瞠目した。
「ふざけんな…ッ」
咄嗟に凪さんを抱えて横に飛ぶ。
それと同時に、乾いた発砲音が倉庫に響き渡った。
「馬鹿…ッ、マジで馬鹿!こんなとこでパンパンパンパンッ、玩具じゃねぇっつーの…ッ!」
「っ、真志喜!」
「…っ」
怒りで血が沸騰しそうになっていると、いきなり凪さんが俺を突き飛ばした。
呆気にとられた俺は、すぐに自分の失態に気が付く。
一瞬の油断。
その隙に背後から振り下ろされた鉄パイプに気が付かなかった。
「凪さ…っ!」
咄嗟に起き上がった俺だが、遅かった。
振り下ろされたそれが、凪さんの後頭部に直撃する。
地面に倒れていく彼が、スローモーションのように目に映った。
息をするのも忘れて俺は駆け出し、凪さんが崩れ落ちる寸前で抱きとめた。
「凪さん…っ!!」
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