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罠9

一瞬真っ白になった頭を必死で切り替える。 しっかりしろ。 ここで俺まで駄目になったら救いようがない。 凪さんは気絶しているようだった。 血は出ていない。 落ち着け。 落ち着くんだ俺。 正直、この状態の凪さんを無理に動かしたくはない。 そうなると、強行突破はできなさそうだ。 だったら──。 目の前にあるのは一つの鉄扉。 その先には小さな物置のような空間がある。 そこに俺は、そっと凪さんを横たえた。 そして扉を閉め、取っ手を破壊する。 振り返れば、まだ大勢残った連中に取り囲まれている。 俯いた俺は、口角を上げた。 そして前方を鋭く睨み付ける。 この中へは、誰も通さない。 「全員、相手してやるよ」

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