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陽だまり2

こちらに気付いた3人は、俺の顔を見るなり瞠目する。 どうやらそこそこ知名度はあるようだ。 まぁいい意味のでないのだろうけど。 2人組は見るからに怯えて、すぐに逃げ出していった。 何もそんなに怖がらなくてもいいだろうに。 先程との態度の違いにほとほと呆れる。 そのまま背を向け歩き出そうとすると、後ろから「あの…っ」と声をかけられた。 振り返れば1人残った男子生徒が、勇気を振り絞るように口を開く。 「あ、あり、ありがとう…っ」 間抜けに裏返った声でそう言った男子生徒を、俺は無言で見つめ、小さくコクリと頷いてからまた歩き始めた。 「日南くんっ。お、おはよう…!」 朝。 いつものように教室の机で突っ伏し寝ていると、頭上から声をかけられた。 見上げれば昨日の男子生徒がいて、俺はポケーっと相手を眺める。 「僕、横川裕介っていうんだっ。あ、あの…っ、僕と、友だちになってください…!!」 「…は?」 突然の発言に、クラスメイトたちが一斉にこちらを見た。 顔を真っ赤にさせる横川を、俺はポカンと見上げる。 なおも真っ直ぐにこちらを見つめてくる横川に対し、俺は「はぁ…」と間の抜けた声を漏らしていた。

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