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守りたいもの3
動揺する男たちの隙をついて、一気に拘束から抜け出す。
その時には周りは一斉に騒がしくなっていた。
柳田組の連中を、日南組の若衆や舎弟らが鎮圧しにかかる。
そんな中、再び俺を取り押さえようとする相手に身構えた。
しかし俺が動くより先に横からの蹴りが男の腹にめり込む。
「真志喜くん、大丈夫?」
「っ、西倉さん…」
その顔つきはマイちゃんといる時とは別物の、日南組幹部としての西倉さんがいた。
彼は困ったような笑みを浮かべ、「まったく無茶をする…」と息を吐く。
「若頭と迅坊っちゃんが、急遽人を集めてね。真志喜くん、携帯に迅坊っちゃんが付けたGPSがあるでしょ」
「え。あぁ…」
「その場所がこんな港の倉庫街だから、何かあると踏んでね。大人数で来て正解だった」
そう言って俺の頭を撫でた西倉さんは、顔を上げ、優しげだった表情を鋭いものへと変化させる。
「あとは任せて、真志喜くんは安全なところへ」
「っ、そんな、俺も一緒に…っ」
「真志喜」
声がしたと同時に、背後から抱きしめられた。
振り返れば至近距離に迅がいて、ジッと見つめ返される。
「無事でよかった…。って、そんなに無事でもないか。こんなに傷だらけで…」
「こんなのどうってこと…。あっ、おい迅!凪さん…っ、凪さんが鉄扉の向こうに…!頭を殴られて…っ、早く病院…!」
「分かった。分かったから落ち着いて。真志喜はこのまま外に出るんだ」
「ふざけんな!そんなこと出来るわけ…!」
反論しようとしたが、首の側面に衝撃があり視界がぐらつく。
意識が遠のく中、俺に手刀を叩き込んだ迅を睨みつけた。
「テメェ…、ぜってぇぶっ殺す…」
「こんなのにも反応できないやつに、言われたくないな」
気絶した真志喜の体を受け止め横抱きにした迅は、西倉にアイコンタクトを送り外へ向かった。
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