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守りたいもの5
凪がふっと瞼を開けば、真っ白な天井があった。
それをボーッと眺めていると、「起きたか」と近くから声をかけられる。
「……兄さん」
「調子はどうだ?」
凪が顔を向ければ、微笑みを浮かべた清がいた。
その顔を暫く眺めていた凪だったが、やがてゆっくりと口を開く。
「真志喜は…?無事…?」
「……お前も大概だな。お人好しめ」
そんなに純粋だと、兄さんは少し心配だよ。
そう苦笑いを浮かべて清は凪の頭を撫でる。
「真志喜は無事だよ。入院もする必要ないって」
「そっか…」
心から安堵した様子で、凪は息を吐く。
相手は拳銃まで持っていたのだから、もしものことがあったのではと咄嗟に思ったのだ。
「みんなそれぞれ後処理に追われてるけど、なんとか収まってきたみたいだから、多分」
「多分…?」
「もう少しで騒がしくなると思う」
途端。
何やら外がバタついていると思っていたら、物凄い勢いで扉が開かれた。
止めようとする迅と正嗣を気にも留めずに、真志喜が飛び込んでくる。
「凪さん!!」
「真志喜…、怪我は…」
「よかったぁ意識戻ったんですね…!俺、このまま凪さんが目を覚さなかったらどうしようかと…っ。あ、頭大丈夫なんですかっ?記憶喪失とか色々…っ。1+1、分かりますかっ?」
捲し立てる真志喜はガーゼやら包帯だらけで、いつかの自分が手当てしてやった時のようだと凪は苦笑いした。
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