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守りたいもの7

真志喜という人間は、ひどく頑丈そうに見えて、誰よりも傷つきやすい。 そのことを、迅はよく理解していた。 無言で前を歩く真志喜を、迅は黙って見つめる。 ただでさえ華奢な体が、今は一層小さく見える。 その小さな背中にどれだけのものを背負っているのか。 いつか真志喜はそれらに押し潰されてしまうのではないかと、時たまそんな焦燥にかられる。 「……真志喜?そっちは家じゃ…」 「怖くなった」 家とは反対方向に進む真志喜に伸ばした手が止まった。 やり場をなくした手を下ろし、迅は口をつぐむ。 足を止めた場所には公園があった。 真志喜はそこのベンチを見つめ、何かを思い出すように遠い目をする。 「凪さんが倒れて、目の前が真っ白になった。また、大切な人を失うと思った」 「……」 「大切な人は、俺の前からいなくなっていく。友だちも…、……母さんも」 次には目の前にやって来ていた真志喜が、ギュッと迅に抱きついた。 胸元に顔を埋めて、肩を震わせる。 「お前は、いなくなるな…」 その語尾は、ひどく弱々しいものだった。 俺はその小さな体を包み込んで、「うん」と答える。 あの時。 路地裏で死にかけていた真志喜を見つけた瞬間から、俺は幼いながらに誓ったのだ。 この子は、なんとしてでも自分が守ると。 その決意は、今でも揺らぐことはない。

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