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守りたいもの11
するとその間内腿を這っていた手が、そっと中心を包み込んだ。
直接的な快感に、真志喜はシーツを蹴りシワを作る。
「ぁっ、ふ、んぅ…っ」
「両方いじられるの、気持ちい…?」
「は、ぁ…っ、や、ぁ…」
「濡れてきた。このまま、イッてもいいよ」
だんだんと速まる愛撫に、真志喜はキュッと瞼を閉じ、膨れ上がる快感に腰を震わせる。
悶えて身を捩るその姿はひどく妖艶で、迅は己の中心が熱を帯びていくのを感じた。
「ぁ、ぁ…っ、や…ぁ、もっ…イ、ク…っ。ぁ、ぁ、んん、ぁっ、……っっ!」
ビクビクッと腰を震わせ熱を吐き出す真志喜を、迅は見逃すまいとするように凝視する。
その視線に気づく余裕もなく射精した余韻に浸る真志喜は艶かしく、迅は生唾を飲み込んだ。
「…それ、前のと同じじゃないだろうな…」
「ん。そうだけど?」
「……」
取り出したローションのボトルを手に首を傾げる迅を、真志喜は苦虫を噛み潰したような顔で見つめたが、やがて諦めたように枕に頭を沈める。
何を抗議したって、それしかないのならもう使うしかないのだ。
ローションを絡ませた指が後ろへ差し込まれる。
初めの違和感に息を漏らす真志喜に、迅は優しく口付けた。
その間にも、真志喜の中で指は動かされる。
何度か啄むようにキスをしていると、真志喜の手が伸ばされ、徐に迅の眼鏡を外した。
カタンとサイドテーブルにそれを置く真志喜に、迅は苦笑いする。
「邪魔だった?」
「ん。…なんか、気分」
「はは。なんだそれ」
「いいだろ。…こんな時まで、度のない玩具付けなくたって」
ポツリと呟いた言葉に、一瞬迅の動きが止まった。
真志喜の言った通り、この眼鏡のレンズは僅かに青みがかっただけの度なしのガラクタだ。
目は別に悪いわけではない。
単純に、少しでも自分の顔を誤魔化したいだけ。
正確には、あの女に似た目元を、だ。
この話になると、真志喜はいつも辛そうな顔をする。
それを俺は見たくないから、敢えて持ち出すことはしない。
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