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潜入4
そう言って憤慨していると、清さんから「ちなみに、この方が店長さんです」と写真を見せられた。
途端に俺は動きを止める。
「え。めっちゃ美女」
確かに気の強そうな顔立ちだが、まるでモデルのようにスラッとした体型の黒髪美女だ。
すっかり大人しくする真志喜に、正嗣は苦笑する。
「その人がまたおっかなくてなぁ。こっちも強く出れずに、でも儲けは確かだから完全に任せちゃってる感じなんだわ」
「ヤクザにメンチ切る美女か。なかなか魅力的だな」
「おい、そこに食いつくなって。本題はこっから」
美女に釘付けになっている真志喜から、清がスッと写真を取り上げる。
それに真志喜が「殺生な!」と嘆く中、正嗣が言葉を続けた。
「その店でな、ここ最近気になることが起こってるらしい」
「気になること?」
聞き返す真志喜に、正嗣の説明を引き継ぎ、今度は清が口を開いた。
「なんでも【ラピス・ブルー】ではホストやキャバクラのように男の子たちに順位が付くようなのですが、No. 1になった子が3人連続で狙われる事件があったそうです」
「狙われたって、どんな」
「下世話なことですよ。被害に遭った方は3人とも【ラピス・ブルー】を辞めています」
下世話というと、そういうことをされ襲われたのか。
悟った真志喜は苛立ちから眉を潜める。
「その件で店長さん…、桐 崎 美 香 さんから、連絡があったんだ」
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