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潜入7
「あなたが、日南真志喜さんね」
「はい!日南組若頭補佐!日南真志喜と申します!」
ピシッと背筋を正し、満面の笑みを浮かべる真志喜を、正面に座った桐崎美香はその切れ長の瞳でジッと見つめる。
あまりも凝視されるので不思議に思うが、美女に一心に見つめられるのもなかなか悪くない。
「へぇ。あなたみたいな子が若頭補佐なんて、大分意外だわ」
「ははは。よく言われますー」
「まぁ、いいわ。取り敢えず、服を脱いで」
「はい分かり…………って、え?」
何を言われたのか分からず固まっていると、相変わらず毅然とした態度で、彼女が言い放つ。
「私は服を脱ぎなさいと言ったのよ。下着も全部脱いで、全裸になりなさい」
「……えーっと、すみません、その、よく意味が…」
「口答え無用。さっさとする」
ピシャリと遮られ、言葉を失った真志喜は、よく分からないまま服を脱ぎ始めた。
なんだこれ。
なんでこんなところで俺は、美女といかつい男を前にストリップショーなどしているんだ…?
スーツを脱ぎ、パンツ一丁になる。
チラリと桐崎さんを見れば、無言で先を促された。
それに顔を引きつらせ、えいやっと布一枚を脱ぎ去る。
「あ、あの…。これで、いいでしょうか」
「……」
全裸のまま立ち尽くす俺を、桐崎さんが無言で凝視する。
いや、これはもう一種のプレイでしかないぞ。
その時、徐に立ち上がった桐崎さんが、カツカツとヒールを鳴らしながらこちらへやって来た。
「え?」と目をパチクリさせる俺の目の前まで来ると、迷いなく後ろに手が回され尻を鷲掴みされる。
「!?!?」
「ジッとしてなさい」
それからも体のあちこち触られ、首筋、肩、腕、胸、腹、腰、太腿、脹脛…。
するすると伝う細い指にただただ放心する。
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