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ボーイデビュー

現れた新人に、周りのボーイたちは騒ついていた。 色素の薄い髪。 透き通った肌。 大きなガラス玉のような瞳。 息を飲むような整った顔立ちをしている少年に、人気争いの激しい彼らは危機感を持ち始める。 「新人の《マキ》です。これからよろしくお願いします」 にこりと微笑みを浮かべ、真志喜は挨拶をする。 ここではいわゆる源氏名を付けることになるので、単純に真志喜から取って《マキ》という名を名乗ることになった。 爽やかな笑みに周りがさらに警戒する中、真志喜は次に「いやー…」と口元を緩ませる。 その笑みの変化に一同は呆気にとられるのもお構いなしに、真志喜は言葉を続けた。 「皆さんほんとにお綺麗ですねぇ〜。想像以上でもう感無量というか。あ、よかったら連絡先教えてくれませんか?是非一緒にデートでも」 言いながら近くにいたボーイの手を取り、距離を詰める。 相手はギョッとして背を仰け反らせるも、真志喜は目を輝かせながらグイグイいく。 「すごい綺麗な瞳ですね。今にも吸い込まれてしまいそうだ。あ、そこのあなたも、なんて愛らしい。まるでお人形さんですね。もうほんと幸せ…!俺はきっと、この日の時のために生きてきたんですよ、うん…!」 すっかり周りのボーイたちにデレデレし出す真志喜に、一同は呆気にとられるしかない。 その見た目とのギャップに誰もが驚く中、1人の美青年が真志喜の前に立った。 鋭い目付きで真志喜を睨みつけ、傲慢な態度で言い放つ。 「一応忠告しておくが、新人はあまり出しゃばったまねはしないようにするんだな。それがここでのルールだ」

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