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ボーイデビュー6

「ほら、いいから座れって。怪しまれるぞ」 「……」 ポンポンとソファーを叩く正嗣に真志喜が盛大に顔をしかめていると、次には迅に手を引かれ2人の間に座らされる。 「おい、近ぇよ。離れろ」 「そんな距離とったら怪しまれるだろ?」 「…正嗣お前、何ニヤニヤしてやがる」 「ん?だって面白ぇじゃん」 「……ふーん。じゃあピンドン頼んでくんだな、了解」 「待て待てなんでそうなる!?」 ドンペリといえどもランクがあり、白ドンの上をいくシャンパンがピンドンだ。 値段は8〜13万する高級品である。 真志喜はさっきからボーイの子たちの視線をやたらと感じていた。 彼らは可愛らしく頬を染めて正嗣と迅を見つめている。 ……マジで腹立つ。 「彼方さんという人がありながら、よく来たもんだな。今度ちくってやる」 「うぐ…っ」 「まぁまぁ真志喜。ここに来たのは調査のことで話すためなんだ。この時間に空きが作れたから来たまでで」 「嘘つけ迅。お前散々ボーイ姿の真志喜を見たがってたくせに」 正嗣の言葉もスルーして、迅は「取り敢えず、何か頼まないと怪しまれるかな?」と笑みを浮かべた。 そんな相手を俺は草むらに落ちたウ○コを見るような目で見る。 それから酒を頼んで、やっと本題に入った。 どうやら俺に伝えたい情報があったらしい。 「なんとか被害に遭った子たちに話を聞くことができてね。その証言がどれも同じような内容だったんだ」

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