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ボーイデビュー9

「あそこでやらかしてたら、店全体の責任ですよ」 「その前に、お前に欲がないじゃないか。そんなんで何故ここに入った?」 「お金が欲しかったんですよ。ここ、給料がいいですし」 「だったら順位あげれば?その方が値段も上がるよ?」 「いやいや。今のままでも十分貰えてますから」 そこでリンは口を閉ざした。 探るような視線を真志喜に向け、やがてスッと体を離す。 「前にも言った通り、あんまり出過ぎた真似はしないことだな」 そう言い残し、彼は去って行った。 真志喜は無言で、閉められた扉を眺める。 頭の中に、再び迅と正嗣の話していた情報が過ぎっていった。

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