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存在意義2
「今日若頭たちがいらしたみたいですね」
「ただの嫌がらせだ。帰ったら殴る」
「清さんも行きたがってましたよ。時間取れなくて残念がってました」
「……」
なんと恐ろしい…。
あのドS清さんが来ようものなら、さらにズタボロにいじくり回されただろう。
座席にもたれかかり、大きく息を吐く。
なんだか今日はやけに疲れた。
よって、疲れた時にはご褒美が必要である。
「榎本、【calm】に寄ってー」
「え?もう閉まってるんじゃ…」
「木曜は11時までやってるのー。あと1時間ある」
calmとは、凪さんの経営するカフェの名前だ。
今日の疲れ切った俺を、凪さんで癒す。
というかもう、凪さんでしか俺の疲れは癒せない。
真志喜の指示に従い、車はcalmへと向かっていく。
すっかりルンルンになった真志喜はなんとなく外を眺め、次には瞠目した。
「榎本!今すぐ車止めろ!」
「え!?あ、は、はい!」
真志喜の指示に急いで榎本が車を停めると、間髪おかずに真志喜は外へと飛び出す。
驚き名前を呼ぶ榎本を置いて駆け出した真志喜は、次には渾身の飛び蹴りを男に喰らわせていた。
「とりゃあー!」
「ガハッ…!?」
吹き飛んだ男に他のチンピラたちが気を取られている間に、真志喜はその場にいたハズキを横抱きにして駆け出した。
「ま、マキくんっ?どうして…っ」
「こんなとこ1人でいたら危ないでしょーが!ハズキくん可愛いんだから気をつけて!」
「君がそれを言うの…!?」
帰ってきた真志喜と見知らぬ美少年に榎本は仰天したが、次には車を出すよう指示をされ慌てて従う。
「大丈夫、怪我とかないっ?あのチンピラたちに何かされなかったっ?」
「へ、平気だよ。それより、マキくんって一体…」
いきなりチンピラ相手に飛び蹴りを喰らわせ、連れてきたのがこんな運転手付きの車だ。動揺もするだろう。
真志喜が苦笑いを浮かべていると、榎本が恐る恐る声をかけてきた。
「あのー、行き先はどうしますか?」
「え?…あー」
時間を見ると10時15分。正直1分でも早くcalmへ行きたい。
真志喜はハズキに顔を向けて、笑みを浮かべた。
「ちょっと俺とお茶しない?」
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