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存在意義9
「…もういい、話すだけ無駄だ。マキくんを巻き込みたくはないけど、仕方ないよね」
そうして背を向けるハズキと入れ替わりで、5人の男が真志喜たちへと歩み寄る。
「…クソッ」
歯を食いしばり後ずさるリンの腕を、真志喜が掴み後ろへと引いた。
庇うように前に立った真志喜は、小さく息を吐く。
次には襲いかかってきた男の鳩尾に蹴りをめり込ませた。
他の男が吹き飛んだ仲間に目を奪われている隙をついて回し蹴りを叩き込み、その流れで側にいた男を殴り飛ばす。
残り2人も一瞬で地面に沈めた真志喜を、リンとハズキは信じられないものを見るような目で見つめた。
「5人相手に…、うそ…」
「あいにく、40人以上を相手したこともあるんでね」
「な…」
言葉を失うハズキに、真志喜はゆっくりと歩み寄る。
ハズキは後退るが、背に壁が当たり逃げ場は無くなった。
「く、来るなぁ…ッ!」
震える声で叫ぶが、真志喜の足は止まらない。
目の前まで来たところで、ハズキはギュッと目を瞑った。
殴られることを覚悟した。
しかし、いつまで経っても真志喜がそうすることはない。
何が起こったんだ?
恐る恐る瞼を開いたハズキは、次には瞠目した。
目の前の真志喜が、とても辛そうな顔で自分を見つめていたのだ。
わけが分からず固まるハズキに、真志喜が困ったような笑みを浮かべる。
そして次には、ハズキをそっと抱き寄せていた。
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