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存在意義14

calmで俺の名前を聞き、羨ましいと呟いていたハズキくんを思い出す。 そこで気付く。 自分の名前を愛せることを、ハズキくんは羨ましいと思ったのか。 一呼吸置いて、真志喜はニッと笑みを浮かべた。 「そんなことない。いい名前じゃん。だってほらっ」 「?」 真志喜に促され、おずおず上を見上げたハズキは目を見開く。 そこには、美しい星空が広がっていた。 「すっごい綺麗だよ。まるでハズキくんみたい」 「……ははっ。なにその口説き文句…」 星空がいつの間にかぼやけていて、気がついたら涙が溢れてくる。 温かい。 こんな気持ちは初めてで、どうすればいいのか分からない。 諦めないで、いいのかな…。 いつか大切な人に巡り合う夢を、待ち続けてもいいのかな。 頬を伝う滴は温かい。 その温かさは、冷え切った心を少しずつ溶かしてくれている気がした。

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