102 / 208
存在意義14
calmで俺の名前を聞き、羨ましいと呟いていたハズキくんを思い出す。
そこで気付く。
自分の名前を愛せることを、ハズキくんは羨ましいと思ったのか。
一呼吸置いて、真志喜はニッと笑みを浮かべた。
「そんなことない。いい名前じゃん。だってほらっ」
「?」
真志喜に促され、おずおず上を見上げたハズキは目を見開く。
そこには、美しい星空が広がっていた。
「すっごい綺麗だよ。まるでハズキくんみたい」
「……ははっ。なにその口説き文句…」
星空がいつの間にかぼやけていて、気がついたら涙が溢れてくる。
温かい。
こんな気持ちは初めてで、どうすればいいのか分からない。
諦めないで、いいのかな…。
いつか大切な人に巡り合う夢を、待ち続けてもいいのかな。
頬を伝う滴は温かい。
その温かさは、冷え切った心を少しずつ溶かしてくれている気がした。
ともだちにシェアしよう!