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愛情2

「今日はあの厄介な店長さんの要望にも応えられたことですし、何やら宴会を開くようですよ」 「宴会、ですか?」 「はい。むさ苦しい場ではありますが、もしよろしかったら成沢さんもご参加ください」 彼方さんににこりと微笑みかける清さん。 やっぱり清さん、彼方さんには優しいよな。 「あぁそれと、これは重要なことなのですが」 「ん?」 みんなが首を傾げる中、なおも淡々とした様子で清さんが付け加える。 「皆さん今日は本邸に泊まられると聞いていますが、どうやらお風呂のお湯が出なくなってしまったみたいなんですよ。なので今から、みんなで銭湯に行きましょう」 「「「「え?」」」」 当たり前のように告げる清さんに、全員がポカンと呆気にとられる。  そうして俺は、本邸に戻ったばかりなのにすぐ外に出され、銭湯に行くことになったのだった。 銭湯には何度か来たことがある。 それこそ本邸のボロ風呂が壊れた時や、ただ単に本田銭湯名物の熱湯風呂が恋しくなったりした時だ。 学生時代、ボロボロになった俺を正嗣が迅もろとも強引に連れて来たこともあった。 その時は散々銭湯にいたジイちゃんたちに心配されたっけ。 「わぁぁ…!すごいですねっ、銭湯!」 「え。もしかして彼方初めてか?」 「はいっ。俺が方向音痴のせいで、うちの家族は極力外出はしない主義なので!」 「「「「……」」」」 なんだ、その家族事情…。 天然なのか、自分の発言のおかしさに気付かずに目を輝かせる彼方さんに涙が出そうだ。 「正嗣…。お前はいろんな所に連れてってやれよ…」 「…善処する」

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