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愛情3

「ここのお湯は熱湯で有名なんだ。5分入れたらなかなかのものだよ」 「へぇぇ、そんなにですかっ」    よく昔は誰が1番長く入っていられるか競ったものだ。 そのせいでのぼせてぶっ倒れたことは少なくない。 しかし、何故か清さんは平気な顔でいつまでも浸かり続ける超人だ。 彼に勝負を挑んで勝てる者はいないだろう。 風呂場に入り、早速シャワーを浴びる。 隣に座る彼方さんは興味深そうに俺の話を聞いてくれているが、正直こちらはその美しい裸体に意識がいきまくりである。 「おい変態、嫌らしい目で彼方を見るなよ」 「はいはい、親御さんはお静かにー」 「誰が親だ!俺は恋人だ!」 「真志喜、体洗ってあげ…」 「触んな殺すぞハゲッ」 邪魔者2人が鬱陶しい。 これで彼方さんと清さんだけなら(できるなら凪さんも)夢のような空間なのに。 当の清さんは1人で黙々と体を洗っているし…。 色気がないですよ清さん! 「あ。そういえば、真志喜くんは何やら大変なお仕事をしていたんですよね?確か、潜入調査?」 「え。彼方さん知ってるの?」 「正嗣さんが楽しそうに教えてくれました」 ほわんと微笑む彼方さん。 俺はその向こうにいる正嗣を睨みつけるが、当の本人はシカトしてやがる。 「大変なお仕事だったのではないですか…?なんでもバニーガールの格好をさせられたり、野球拳をさせられたりしたそうで…」 おい。なんだそのデマ情報は。 「そんなに体を張られて…。真志喜くんは、苦労されているのですね…」 「成沢さん、気にするだけ無駄ですよ」 「え?」 清の言葉に首を傾げる彼方。 次にはその両手を、真志喜がキュッと握った。 驚く彼方を、真志喜は渾身のキメ顔を浮かべて真っ直ぐに見つめる。 「え、あ、あの、真志喜くん…?」 「1つだけ、俺の苦労を癒せる方法があります」 「へ?」

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