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愛情6
「真志喜、もう飲むの止めな?ほら、お水あるから」
「んぅ、やーぁ…!」
空の酒瓶をギュッと抱きしめ駄々をこねる真志喜に、迅は堪らず携帯のシャッターを切った。
迅の携帯にある真志喜コレクションには既に数え切れないほどの写真たちが存在するが、こうして酔っ払った時の真志喜はまさにサービスタイムだ。
どれだけ撮っても真志喜は酔ってるから怒らないし、何より酔った真志喜が可愛い。
その白い肌を赤く染めて、幼子のようにグズっている。
正直この真志喜が見たいがために、わざわざ早いペースで酒を飲んで酔わせてるところもなくはないのだ。
「じぃん…!」
「ぅおっ、と」
パシャパシャと写真を撮っていると、いきなり真志喜が飛びついてきた。
ギュッと俺の服を掴んで胸に顔を埋める真志喜。
「真志喜…?どうしたの…?」
「んんぅ…っ」
暫くグズっていた真志喜が、俺を見上げてくる。
瞳をうるうるさせて、遂にはポロポロと涙を流し始めてしまった。
真志喜は酔うと泣き上戸になる傾向がある。
待って。無理、天使すぎる…。
周りもいつもと別人の真志喜に釘付けになっている様子だ。
こんな姿は誰にも見られたくはないが、正直今はどうこうする余裕もない。
「じぃん…」
「…っ」
まるで甘えるような声に体が震える。
これは歓喜の震えだ。
クソ、録音しておけばよかった。いや、今からでも録音するか?
真剣に思案していると、また真志喜がグズるような声を出して、俺にくっ付いてきた。
「俺に構えよぉ…。無視してちゃ、やだよぉ…」
「!!!!」
瞬間。
その言葉に、我慢の限界を迎えた。
すぐさま真志喜をお姫様抱っこして立ち上がる。
そしてそのまま走るように廊下へと向かって行く。
その間周りに「がんばれ迅さんっ」「よっ、色男!」などと声をかけられながら、俺は大広間を後にするのだった。
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