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前触れ12
「相変わらず真志喜ちゃんの愛は過激だなぁ〜。そして何と言っても美尻だ。惚れ惚れする」
「黙れ白髪野郎ッ。風呂で待ち伏せするとか信じらんねぇし…。そしてまったく気配を感じられなかった自分にムカつく…ッ」
「恥じることはないよ。俺も伊達に情報屋やってないからさ」
冬馬がやって来た時に騒がしくなるのはいつものことなので、周りはすぐに落ち着き、再び宴会を続けていた。
早急に服を着せられた2人のやり取りに、迅が咳払いをして割り込む。
「それで、ここに来たということは何かしらの情報があるんでしょう?」
「ん。迅坊っちゃん、一丁前に嫉妬してる?可愛いねぇ。初めて会った中学生の頃から何にも変わらない」
ゆらゆらと体を揺らして笑う冬馬に2人は汗を流す。
そして声を大にして言いたい。
何も変わらないのはそちらの方だと。
何故かと言えばこの男、年齢が不詳なのだ。
初めて会った時からまったく外見が変わっておらず、パッと見は20代に見えるが、その20代の見た目が10年程続いているわけだからおかしな話だ。
組の中では、彼があまりにも未知なものだから密かに《冬馬、宇宙人説》が上がっているほどである。
黙り込む2人にケラケラと笑った冬馬は、次には唐突に「情報というか、少し良からぬ動きがあってね」と話を戻してきた。
「これは伝えてあげた方がいいと思って、わざわざ出向いてきてあげたんだ〜」
「…それはありがとうございます。お風呂に忍び込んだりしないで普通に訪れてくれるともっと有難いですけどね」
「はっはっはっ。それは無理ってもんだ。俺のポリシーに反する」
「そんなポリシー捨てちまえ!」
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