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前触れ13
謎のドヤ顔に真志喜が吐き捨てるが、冬馬はヘラヘラ顔を崩さない。
そんな相手に青筋を立てて拳を振り上げた真志喜を、迅が慌てて止めに入った。
なんとか止めている迅の苦労も知らずに酒を飲んだ冬馬は、何でもないように口を開く。
「あちこちで、真志喜ちゃんのこと探してる輩がいるみたい」
「っ、真志喜を…?」
揉み合っていた2人が動きを止めた。
冬馬は手に持ったグラスを眺めながら、先ほどまで浮かべていた笑みを消して無表情に言葉を続ける。
「詳しいことは知らない。ただ、用心しておいた方がいい。他の組では負傷者まで出ていると聞いた」
「負傷者…?なんで俺を探すことで怪我する人間が出る?」
「そんな手荒い手段を使ってまで、真志喜を探してるってことですか…?」
「え?」
迅の言葉に真志喜が驚愕する中、冬馬は「まぁ、そういう事だろーねー」と呑気そうな声で答える。
そして次には、鋭い視線が2人へと向けられた。
「相手は結構厄介そうな連中だから、あまり甘くみない方がいいよ」
そう告げてから、冬馬はその場を後にする。
残された2人はそのまま暫く動くことはなく、嫌な胸騒ぎを感じながら固まることしかできなかった。
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