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前触れ19

一撃で板は破壊してしまったが、確実にヒットした手ごたえはあった。 が、男は倒れない。 咄嗟に男は左腕で頭をガードしていた。 ヤバイ。 無意識にそう思う。   しかしダメージがない訳ではないらしい。 男の体が僅かに揺らいだ。 間髪をいれず真志喜の足が追撃の蹴りを少し下がった頭部に入れる。が。 いとも簡単にその足首が掴まれた。 「っ!!」 大きな図体に似合わぬ信じられない反射神経だった。 掴まれた足首をそのまま物凄い腕力で引かれ、真志喜は地面に引き倒されて背中を強く打ち付ける。 「……ッカハ!」 強い衝撃に一瞬息が詰まる。 男はその隙を見逃さず真志喜の体に覆いかぶさるように伸し掛かり、右腕の前腕で真志喜の首を押さえつけた。 「グッ………う……」 胸の上に乗る大きな体と首を圧迫する腕に、真志喜が苦しげな呻きをもらす。 意識が遠ざかる中、伸し掛かる男の顔が至近距離に詰められた。 男のこめかみを伝った流血が、ポタリと真志喜の白い頬に落ちて汚す。 殺される。 そう思った瞬間。 不意に携帯の着信音が、遠のきそうになる意識の中で聞こえた。 すると首を押さえつけていた腕の力が俄に緩められる。 「ガハッ……!ゲホッゲホッ……」 急速に吸い込んだ空気に咽て真志喜が男の体の下で咳込んだ。

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