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バカなやつ4

「悪いけど、もうウチでは雇えないから」 「……」 これでバイトをクビになるのは何度目だろうか。 高校生になって、迅や正嗣がしていたようにバイトを始めた。 ヤクザの息子って立場だけど、正式にヤクザにはなっていないから問題はないのだという。 現時点で組に入るのを、じぃじは承諾しようとはしない。 最低でも高校卒業してから。 というか、別の仕事に興味はないのかなんてことも聞いてくる。 じぃじの気遣いは感じてる。 でも俺はもうここにしか存在意義はないのだから、他にしたいことなんてない。 だって本当なら、もう死んでいるはずの人間だ。 それを迅に拾われた。 ならば俺の居場所は迅のいる場所にある。 ……と、脱線している間に話は進み、バイトを追い出されてしまった。 クビになったのは、断じてヤクザの息子ってのが原因ではない。 今までだってそうだ。 原因は全部、俺にある。 あるバイトでは、万引きしようとしたやつに飛び蹴りをくらわせたらクビにされた。 そして次のバイトでは、明らかに嫌がらせのクレームを出して来たヤンキーと喧嘩してクビ。 今回はというと、バイトの中で陰湿ないじめが起きていたので、その主犯格をぶん殴ってやったことが原因だった。 組のみんなは笑い話にしているけれど、普通の親とかなら悲しんだり怒ったりするのだろうな。 自分の子は社会不適合者だと、嘆くに違いない。 まぁただの妄想に過ぎないのだけれど、ちょっと思ってみた。

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