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バカなやつ5
バイトをクビになった時、まず1番に迅に気付かれる。
別に話してもいないのにバレるのだ。
正直キモい。
「あ、真志喜おかえりー」
玄関で靴を脱いでいたら、早々に迅と出くわした。
ヘラヘラ笑いながら、大きな3つの段ボール箱を抱えている。
そういえば、倉庫の整理をするとかって言ってたな。
玄関を上がり、「今日は怪我してないなー」と叔父貴のおっちゃんにたちに揶揄われながら居間へ向かう。
するとまた廊下を横切った迅と鉢合わせて舌打ちが漏れた。
「あ、真志喜さ、これ持ってくれな…」
「死ね」
その時前方から歩いて来る凪さんに気付いた。
迅を押しのけ駆け寄る。
周りはこんな俺のことをまるで犬みたいだとか言って笑うけど、よく分からない。
「あ、真志喜おかえり。久しぶりだな」
「うん。凪さん、これ持つ」
「え。でも重いぞ?」
みんなの手伝いをしているのか、凪さんが運んできた段ボール箱を持った。
軽々抱える真志喜に、凪は「真志喜は力持ちだなぁ」と感嘆の声を上げる。
運ぶために振り返れば、苦笑いしてる迅がいた。
その目元には最近買ったのだという色付きの眼鏡が付けられている。
それになんだかむしゃくしゃして、俺は迅を無視して居間へと向かって行くのだった。
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