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バカなやつ7
屋台が立ち並び、明るく照らされた神社の通りは賑わっていた。
駆け回る子供たち。
身を寄せ合う恋人。
ふと、手を繋ぎ楽しそうに歩いて行く母と子が目に留まる。
男の子が笑顔ではしゃぎ回り、母親は幸せそうに笑っている。
「はい、真志喜」
「…っ」
目の前に差し出されたそれに、俺はハッと我に返った。
人酔いしないように、人混みから少し外れた場所のベンチに俺を座らせた迅は、どうやら何かを買いに行っていたようだ。
迅の手にはりんご飴が握られていた。
それを俺は無言で受け取る。
「真志喜、甘いの好きでしょ?綿菓子とチョコバナナはもう食べたから、今回はりんご飴」
「……」
俺は迅に拾われるまで一般的なことを経験しなさ過ぎたせいで、かなりの世間知らずだった。
それもあって、迅はこうして俺を色々な所へ連れて行くのかもしれない。
迅の連れて行く場所はどこも俺には未知の世界で、初めてなものばかりだから。
その時隣でシャッター音がして、睨みつけると迅が携帯を俺に向けていた。
「…何してんだ」
「真志喜の浴衣姿が堪らなく可愛いと思って」
「眼鏡かけるなら度ありのにしてこい」
迅の用意していた浴衣は、紺色のシンプルなものだったのでまだ良かった。
これで派手なものでも持って来ようものなら即処分していただろう。
俺だけ着ていくのは嫌だと言い張ったので、迅もグレーの浴衣を着ている。
眼鏡も外せと言ったが、それは笑ってスルーされた。
マジで腹立つ。
「でも真志喜、なんかエロいな…。これはいけない、いけないよ真志喜。こんな可愛すぎて色気もある真志喜は、あまり人に見せたくはない」
「そんな発想すんのは変態のお前だけだ」
というかそれを言うなら迅の浴衣姿の方がよっぽどエロ…。
「…っ」
そこまで考えて我に返った。
なんか俺、今ポロっとすげぇこと思いそうになったぞ…。
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