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欺瞞7
「おい!迅さんたちの居場所は何処だ!?」
男の胸ぐらを掴み榎本が問い詰めるが、相手は口をつぐんで答えようとしない。
それに再度榎本が口を開こうとした時、背後から肩を掴まれ突き飛ばされた。
「邪魔だ代われ」
明らかにいつもと様子の違う真志喜は、殺気立った瞳で男を見据えた。
その威圧感に相手が身動ぎすると同時、強烈な蹴りが腹へ叩き込まれる。
「ッッ…!!カ、ハ…ッ」
あまりの痛みに呼吸すらも出来ない男の頭を真志喜が踏みつける。
勢いよく地面へと顔から突っ込んだ相手に、真志喜は凍りつくような声音で言った。
「居場所を吐け。吐かねぇと殺す」
「っ、ま、真志喜さん…っ」
マズい。完全にキレてるな…。
西倉は無表情であったが、内心では焦りを滲ませる。
キレた真志喜くんは手がつけられない。
普段しょっちゅう怒鳴ってはいるが、本当に怒った時のそれは比べ物にならないのだ。
三年程前の抗争で、若衆の一人が銃で撃たれ殺される事態が起こった。
その時現場にいた俺は、ブチ切れた真志喜くんを目の当たりにした。
相手が銃を持っていることに一切怯む様子もなく突っ込んで行き、その暴れようといったら酷 いものだった。
なんとか迅坊っちゃんが止めに入り暴走は収まったものの、その血走った目や返り血を彼方此方に浴びた姿は獣のようで、今でもあの時の衝撃は覚えている。
ただ、今回はまだ冷静さはあるようだ。
正確になさねばならないことがある。
その為に必死に理性を残しているのだろう。
まぁ十分冷徹で恐ろしくはあるが…。
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