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欺瞞8

「3秒で答えろ。じゃなきゃまず右腕を折る」 「ヒッ…!ぃ、嫌だ待ってくれぇ…ッ!」 「3」 「も、もし話したらどんな報復があるか分からねぇんだ…ッ!!」 「2」 「頼むよぉ…見逃してくれ…ッ!もう関わらねぇからぁ…ッ!!」 「1」 鈍い音が聞こえた気がした。 次には劈くような悲鳴が響く。 いくら人通りがないと言っても、ここまで騒がれてはマズい。 聞き出すにしても、場所を変えるべきだろうか。 しかし迅坊っちゃんたちの安否も分からない状態だ。 事態は一刻の猶予もないとも言える。 止めるべきか、否か──。 西倉は真志喜を見遣った。 「次は左腕」 「ま、真志喜さん…!」 「3、2、」 「分かったぁ…!話す…っ、話しますからぁ…!」 西倉が止めに入ろうとするよりも、男が根を上げる方が早かった。 大方こういった事の経験も何もないのだろう。 すっかり怯え切り、ブルブルと体を震わせている。 動きを止めた真志喜は、相手の髪を掴み上げ問うた。 「迅は何処だ」

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