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欺瞞9
やはりおかしい。
情報を吐いた男を後からやって来た若衆のやつらに任せて車に乗った真志喜は、再び感じた違和感に顔をしかめた。
何故わざわざあんな雑魚を使って、相手はこんな真似をしたのだろう。
何か仕掛けるのなら、それこそ荒木とかいうあのデカブツでもなんでも使えばいい。
あんな素人を使っても、情報を吐かされるのがオチだ。
「腑に落ちない、って顔だね」
「え」
思考を止めて前を向けば、助手席にいる西倉さんが此方を見ていた。
俺は言われた言葉を理解して、再度俯く。
「西倉さんはどう思う?」
「うーん、まぁ妙ではあるよね。相手も馬鹿じゃないだろうし、何の意味も無しにこんな無駄なことをするとも思えない」
「えっ、そうなんですかっ?」
運転する榎本が驚いた声を上げるが、今は一々構っている暇はない。
わざわざ素人を使った理由…。
俺たちが返り討ちにして情報を吐かせるのは目に見えたことだろう。
それを敢えてさせたのか?
なんで?
俺たちをその場所まで誘導させるため…?
「おわっ!?」
「…!」
いきなり急ブレーキがかかり、体がつんのめった。
咄嗟に顔を上げれば、前方に車が一台停まっている。
「なんだよコイツッ、いきなり停まりやがって!」
「……」
真志喜はジッと前を見つめた。
するとやがて前の車のドアが開き、人がゾロゾロと出てくる。
その出立は、とても一般市民のようには見えない。
そして何よりも──…。
「……荒木」
以前自分を始めてタイマンで負かした相手が、その中にはいた。
次には真志喜がドアを開ける。
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