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ショッピングモールへ4

「これめっちゃ天野似合いそう!あ、でもこれもいいなぁ」 「あの、シンくん。さっきから僕の服選んでばっかじゃ…」 カジュアルな雰囲気の服屋に入ってから、何故かシンくんはずっと僕の服を選び続けているようだった。 その状況に耐えきれなくなり僕が恐る恐る指摘すると、彼は拗ねたように唇を尖らせる。 「だって天野、折角綺麗な顔なのに服装がシンプル過ぎるじゃん。天野ならもっと似合う服いっぱいあるのにもったいない」 「え?そ、そんなこと…」 「ある!本当なら髪型ももっと爽やかな方がいいよ。前髪長くて顔見え辛いし」 わざとやっているんです。とは言えずに苦笑いを浮かべる。 服装だって中学校の頃はおしゃれな碧兄のおさがりを着ていた。 しかしそれも次第と無くなっていき、今ではモノトーンのものばかりを着るようになっている。   目立たないように。   人の目に触れないように。 大袈裟だと思われるかもしれないが、これまでのことで僕は多少なりとも人間恐怖症になっているのだ。 「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」 服を見ている僕らの元へ、女性店員さんがやって来た。 こういうのが苦手な僕は、どうすればいいのかわからずに俯いてしまう。 対してシンくんは、いつもの人懐っこい笑みを店員さんに向けていた。 「今友達に合う服を探してて、トップスとかでいいのとかありますか?」 彼の笑顔に頬を赤らめた店員さんは、次には僕へと視線を向ける。 目が合うと彼女は瞠目して「え、凄い美人さん…」と小声で呟いた。なんだか居心地が悪くなって再び俯く。 「お友達さんにだと、そうですねぇ。爽やかな雰囲気が似合いそうですけど、案外大人びた感じとかもいけそう…。あ、でもいっそ愛らしさを前面に出したコーディネートでもいいですね」 こちらを凝視しながらどんどん入り込んで行ってしまう店員さんに汗が流れる。 店員さん、先程まで浮かべていた笑みが消えて顔が真剣になっている。なんか怖い…。 「これなんかどうですか?優しい雰囲気がピッタリだと思いますが」 選ばれたのはアイボリーのニットだ。確かに色も淡い感じで清潔感がある。 「これはミラノリブモックネックニットというんですが、ニット特有の柔らかさと編み目の細かさが上品な印象に仕上げてくれるんです。コーデに取り入れるだけで垢抜けた印象になりますよ」 「は、はぁ…」 今、何ニットって言った?呪文みたいで全く覚えられなかった。 すごい前のめりに説明してくる店員さんに、動揺する僕の隣でシンくんは「ふんふん」と頷いている。 ほんとに同じ高校生だろうか。時代についていけていない自分が悲しくなる。 「確かに天野に似合いそう。一回、試着してみてもいいですか?」 「え?」 「はい。是非着てみてくださいっ」

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