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ショッピングモールへ5

言われてすぐに試着室へと入れられてしまった。シンくんから「着替えたら見せて」と笑顔でお願いされてしまい、無駄に緊張してしまう。 僕なんかがこんなお洒落な服を着ていいのだろうか。 服に着られたりしないのかな?イケメンなシンくんは、きっとなんでも着こなせてしまうのだろう。 そんな彼に見られてしまうことがとてつもなく恥ずかしい。 恐る恐るニットを着てみた。着心地はとてもいい。チクチクしないし、サイズもちょうどよかった。 下はジーンズを履いてきたので、組み合わせはおかしくないだろう。 顔を覗かせる程までゆっくりとカーテンを開ければ、正面の椅子にシンくんが座っていた。 「き、着れました…」 「うん。見せて」 真っ直ぐな視線を向けられ、顔が熱くなる。 同性相手に何をテンパっているんだと思うが、相手がシンくんなのだから仕方がない。 恥ずかしさをなんとか堪えてカーテンを全開にすれば、シンくんは「おお」と声を漏らした。 「いいじゃんっ。だいぶ感じ変わったよ」 「そ、そうかな…?」 「うん。明るくなったし、服の色が凄い似合ってる」 お世辞だとわかっていても、褒められていたたまれない気持ちでいっぱいになる。 「あ、ありがとう」 嬉しくてはにかみ笑みを浮かべながらお礼を言うと、シンくんが体の動きを止めた。 どうしたのだろうと、僕は小首をかしげる。 「どうかした?」 「……無自覚って怖い」 「え?」 「ううんなんでも。じゃあこれは俺の奢りね。今日付き合ってくれてるお礼」 「え…、えぇ!?」 ちょっとストップ。今なんて言った? サラっと言われたけどツッコまずにはいられない。 奢られるなんて、そんなことできない。服は高いのだ。高校生が友人同士で奢られていい額ではない。 「そんなの悪いよっ。僕の服なんだから、僕が払う…!」 「でも選んだのは俺だし、お礼だって言ったじゃん」 「で、でも…!」 「大丈夫。俺バイトの給料出たから財布が潤ってんの。ね?お願い!」 「えっ」 懇願されてしまい、僕は狼狽した。 ここまで言われてなおも断り続けたら、逆に失礼ではないだろうか。 でも本当に奢られてもいいものかわからない。

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