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ショッピングモールへ6

固まる僕に、シンくんはふと向けていた視線を外した。 僕に背を向け、「ちょっと待ってて」と歩いて行ってしまう。 もしかして怒らせてしまったのだろうか。 焦りを隠し着れずソワソワしていると、やがてシンくんが戻ってきた。 そして僕が何かを言うよりも先に、手に持っていたものを差し出される。 「あの、これは…?」 「うん。天野が納得できないみたいだから。俺が奢る代わりに、このキャップ買って。俺とお揃いっ」 そう言って同じキャップを頭に被せるシンくん。彼はそれも今から買うのだろうか。 だったらキャップは二つとも僕が買った方がいいのではないか?そうすれば服と同じくらいの値段になるだろう。 しかしそれを言うと即却下されてしまった。 キャップも俺が提案したことだから、俺の分はちゃんと払う、だそうだ。 これ以上は譲れないと言い張るシンくん。 少しの間見つめ合いが続いたが、やがて僕が折れて頷くと彼は真剣な表情を緩めて嬉しそうに笑った。 「ありがとう。あ。じゃあこのキャップは天野に渡すから、天野が買ったキャップ俺に頂戴よ。プレゼントしてっ」 「それ、意味あるの…?」 「天野から貰ったというステータスがつく」 「す、ステータス…?」 真顔で親指を立てるシンくんに汗を流す。 言ってることはよく分からないけど、シンくんがそうしたいのならと僕は頷いた。 「ありがとうございましたー」 キャップは買ってすぐ被るようにシンくんに言われ、レジでタグを取ってもらったそれを僕は被る。 色々な服と合わせやすいからと、シンくんが選んだのは黒いキャップに白いロゴのついたものだった。 確かにこれならシンプルだし派手すぎなくていい。 でもキャップを被るのは小学生以来だし、あの頃のような子供っぽいものではないので少し探り探りで頭に被った。 「あ。なんか安心感…」 「ふむふむ」 「え?あの、シンくん…?」 曝け出していた顔を少し隠せたことに安堵していると、シンくんが顔を覗き込んできた。 吟味するように見つめられ狼狽していると、次にはパッと表情を明るくする。 「いいじゃん!似合ってる!」 「っ、あ、ありがとう……?」 「明るい色もいいかと思ったんだけど、天野目立ちたくないだろうからさ。いやぁ、天野はなんでも似合いそうだよな〜」 隣で並んで歩き出しながら、嬉しそうにシンくんは話す。 僕はいたたまれない気持ちになって顔を赤らめ俯いた。 「今度遊ぶ時はその服着てきてねっ」 「えっ?」 サラっと言われた言葉に瞠目する。 今、またって言った…?

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