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危険人物2
ペアになって早々脅されて、僕はすっかり萎縮してしまっていた。どうしよう、僕今日三百円しか持ってない…。
「おい優璃、あんまり虎介いじめんなよ」
かけられた声に、後ろを振り返る。
そこには慎太郎くんがいて、微笑みを浮かべてこちらを見ていた。
対する生駒くんは面白くなさそうな顔を作り、皮肉のこもった笑みを浮かべる。
「シンはこいつにゾッコンだな。なに、恋でもしてんの?」
「そうそう、俺は虎介が大好きなんだ。だから手ぇ出すなよ」
「はぁ?出すわけねーだろ。ってかいつの間にか名前呼びになってるし」
「こっちのが距離が縮まるじゃん?」
ニヤリと笑みを浮かべた慎太郎くんに、生駒くんは眉を寄せる。それと同時に笛が鳴り、先生からそれぞれのコートに移動するように指示が出た。
「あ、じゃあまたな虎介っ。あとで貸してもらってた本返すよ」
「あ、うん…」
僕に手を振り満面の笑みを浮かべながら、慎太郎くんはコートに向かって行った。
相変わらず笑顔が眩しい。
「……お前、シンに何かしたの?」
「え?」
「ガキの頃から知り合いだけど、あいつが何かに執着するの初めて見たから」
「はぁ。……って」
それって幼馴染ってこと?
「おーい生駒ー、早く来いって」
「始まんねーだろー」
「ん。おお」
対戦相手の二人に呼ばれ、生駒くんは歩き出す。話はどうやらおしまいのようだ。
「あそっか、生駒のペアってマスクマンか」
「じゃあ今回勝てるんじゃね?」
「あ?お前らなんて一人でも十分だし」
「なんだとー!元バスケ部ナメんなよ!」
どうやら石田くんはバスケ経験者のようだ。
もう一人の橋本くんはバレー部だった気がする。
生駒くんは……多分どこも入っていない。
僕と同じで帰宅部だ。
運動は得意な方だけど、高校ではこの見た目から悪く見られがちだ。
まぁ実際マスクで呼吸しずらかったり、目立ちたくないというのもあって平凡な成績をとってはいるけど。
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