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引き立て役
気分が重かった。
僕は慎太郎くんに顔を見られている前例がありながら、まさかの不注意で生駒くんにも顔を見られてしまうことになった。
連続して慎太郎くんのような善人に当たるわけがない。
生駒くんのあの日の言葉に、僕は頭を抱えるしかなかった。
ほんと、なんで興味を持たれるんだろう…。
僕の体なんて貧相なものだ。中学時代の名残で引き締まっていると思うが、もともと筋肉がつきにくい体質だからたかが知れている。
胸もなければ付いているものは付いているし、断然女の子の方が魅力的だと思う。
「虎介?」
「…!」
考え込む僕の顔を、慎太郎くんが覗き込んできた。
驚いて体を強張らせる僕に、彼は問いかける。
「俺と遊ぶの、つまらない?」
「そ、そんなことないよ!」
「じゃあなんでそんな深刻そうな顔してるの?」
「え」
言われたことを理解し、罪悪感が込み上げてきた。
折角また慎太郎が遊んでくれているのに、関係ないことを考えて慎太郎くんを無視するなんて最低だろう。
今日は慎太郎くんと映画を観に行った。
この前彼に貸していた本が映画化するということで、一緒に観ようとなったのだ。
ミステリーものの小説で、かなり複雑な物語だったが、それを映画でもうまく表現していてこちらとしては大満足だ。
今はハンバーガーショップで映画の感想を言い合っていたところだ。
途中で思考が別のところに行ってしまったが、彼と遊ぶのがつまらないわけがない。
「ご、ごめん…」
「いや、俺が原因じゃないならいいんだ。何か考え事?」
向かいに座る慎太郎くんは、ストローを口に咥える。僕も手に持ったままだったハンバーガーを一口食べた。
「うん。まぁ…」
「悩み事?」
「いや、そこまででもないんだけど…」
「よかったら話してよ。言ったら気持ちが軽くなるかもしれないし」
「そう、かな」
生駒くんには、ただおちょくられただけだ。実際に何かをされたわけでもないし、考えすぎかもしれない。
今まで何度もそういった被害に遭っているから、心配になるのは当然だと思うけど。
生駒くんは生駒くんで、人として真っ当な部分もある……のだと思いたい。
少し、いやだいぶ意地悪で怖くて人のことをバカにしてくる節はあるけれども…。
「でも、ほんと平気…」
「強がって得することなんて、何もないよ」
「え?」
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