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引き立て役2

僕の言葉を遮った慎太郎くんの声は、いつもの彼とは違うように思えた。 いつもの明るい彼とは違った、冷たい印象を受けた。 怖いと思ってしまった。 「慎太郎くん…?」 僕の知らない慎太郎くんに戸惑う。 何か彼を怒らせてしまったのだろうか。 恐る恐る彼の様子を伺うと、ふっと目が合い、彼はいつも通りの笑顔を浮かべた。 「だってほら、抱え込んでも苦しいだけだし。遠慮とかしてないで、話してみなよ」 「……うん」 つい頷いてしまった。 確かに彼のいうことは一理あるし、もう一度断るのは流石に悪い気がする。 それに友達なのだから壁を作るのは良くない。 僕は化学準備室での出来事を慎太郎くんに話した。 彼はそれを無言で聞いていたが、最後まで話し終えると、僅かに眉をひそめる。 「優璃のやつ、女遊びばっかしてるからな。どこまで本気かわかんないけど、極力関わらない方がいいかも」 「そ、そうだよね…」 彼には悪いが、あんなことを言われたら警戒もする。 男が男に言うセリフではないし、慣れていそうで抵抗感とかあまりなさそうに見えるし…。 「ずっと俺の側にいたら守ってやれるけどなー。虎介が避けるし」 「だ、だって慎太郎くんが僕なんかとずっといたら、君どころか他の子にも迷惑だよ」 「なんで?」 「なんでって、みんな慎太郎くんと話したいだろうし…」 「俺は虎介と話したい」 「にゃ…っ」 「何を言って」と言おうとしたら、あまりに動揺しすぎて噛んでしまった。 恥ずかしくて、真っ赤な顔でジュースを吸い上げる。 正面から見つめられているのがわかったが、とても顔を上げれない。 いきなり言われた言葉に動揺する。 慎太郎くんは人気者だから、いつもたくさんの友達と会話をしている。 そんな彼が、僕と話したいと思ってくれているだなんて。 こんな面白みのない陰キャラと化した僕なんかと。

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