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引き立て役4

散々迷ったが、やっぱりバスケは断念することにした。 鈍臭い僕は、きっとバスケに夢中になって警戒が疎かになる。 そうなれば顔を見られてしまう確率はグンと上がるだろう。 もし入部すれば絶対に一人にはバレると思う。 それで何かあったらなんて考えたら、とても入る気になれなかった。 岡本くんには何度も謝って誘いを断った。 残念そうな彼に罪悪感が込み上げてくるが、何とか堪える。 もし部内で何か問題が起きれば、部活そのものに迷惑がかかるのだ。 中学の時と同様、それだけは避けたかった。 放課後の廊下を、重い気分になりながら歩く。 マスクと眼鏡をしてる時点で十分暗いのに、ここまで落ち込んでいては負のオーラが凄いのだろう。 すれ違う人たちはみんな怖がっている様子だった。 それでも僕は、沈んだ気分をどうすることもでない。 さらば愛しのバスケ…。 いつか気兼ねなくできる日がくることを祈っているよ…。 「おい生駒ー。さっきミカちゃんが呼んでたぞ。一緒に帰ろだって」 「フーッ。モテ男は辛いね〜」 「!?」 生駒!? 今そう言ったのか!? 聞こえた名前に過剰に反応し顔を上げる。 すると前方に彼の姿を発見した。 生駒くんはイケメンオーラが出てるし背が高いからよく目立つ。 すぐに背を向けた僕は廊下の隅に縮こまった。 どうする? 昇降口は向こうにある。面倒だが遠回りした方がいいだろうか。 職員室の方に回り込めば、鉢合わせることはないだろう。よし、そうしよう。 そうして僕は回れ右をして歩き出し…… 「とーらちゃん」 「…っっ!?」 一歩足を踏み出そうとしたら、目の前に腕が現れた。 壁に手をつかれて道を塞がれる。 反射的に顔を横に向ければ、驚くほど至近距離に生駒くんがいた。

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