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引き立て役5
みみみみ見つかった…!?
というか“虎ちゃん”って僕のこと…!?
生駒くんは背が高いから、殆ど覆い被さられる形になっている。
怖い。物凄く怖い。
いつも僕には仏頂面のはずなのに、今は別人のようにニコニコ微笑んでいる。
その笑みが逆に不気味だ。
「なんで逃げんの?今逃げたよな?」
「い、いや……ちょっとトイレに…」
「そっち女子トイレだけど」
「あ」
しまった。
咄嗟に嘘をつくからこういうことになる。
「あ、もしかして虎ちゃん女の子だった?そっか〜納得。確かに男の域を超えた可愛さだもんな〜」
「な…!?」
おかしなこと言わないで欲しい。
しかもこんな場所で!
みんなから見られているのが分かる。
きっと陰キャの僕が生駒くんに絡まれているようにしか見えないだろうけど、もし会話を聞かれたらいろいろとマズイ。
「い、生駒くん…っ、ここでそういう話は…!」
「じゃあ明日、一緒にお茶しようよ」
「え?」
じゃあとは、どういうことだろう。
というかなんでいきなりお茶に誘われたのか、状況が理解できない。
明日の土曜は予定が空いているけど、彼と二人でなんて怖すぎる。
これは断っても許されるのだろうか。
「な、いいだろ?ダメだったらまた誘うけど」
「う…」
先に釘を刺されてしまった。
こちらの考えなど筒抜けということだろうか。
「でも、そういうのは女の子と行ってあげたらいいんじゃない…?」
「なんで」
「いや、きっと生駒くんとお茶したい子いっぱいいるだろうし…」
「俺は虎ちゃんとお茶したい」
あれ。これと似たような会話を最近したような気がするのだが…。
混乱する頭を押さえる。
話の内容もだが、取り敢えず離れて欲しい。
本当に近い。
「あの、生駒くん離れて…」
「じゃあお茶しよう?」
もういい。お茶ならするから解放して。
僕が観念して頷くと、彼は嬉しそうに笑って携帯を取り出した。
「じゃあ、連絡先」
「……はい」
慎太郎くんに忠告されたばかりなのに、僕は何をしているのだろうか。
顔を青くする僕とは対照的に、生駒くんは終始嬉しそうに笑っているのだった。
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