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引き立て役15

「わぁぁぁ…!」 ここのショートケーキは普通の三角形ではなく、円形になっていた。 イチゴがたくさん敷き詰められていて、まるで小さなホールケーキのようになっている。 もともと調査済みだったから知ってはいたが、実際に見るととても可愛らしい。 「このケーキ、すごい可愛いねっ。あーどこから食べよう」 「……確かに可愛いな」 「でしょっ?」 同感してくれたのが嬉しくてニコニコしながら生駒くんを見ると、再びバッチリ目が合ってしまった。 固まる僕に、生駒くんはふっと笑う。 「虎ちゃん、可愛い」 あまりにも直接言われて赤面する。 羞恥を誤魔化したくて、僕は慌ててケーキを口に入れた。 瞬間カッと目を見開く。 あまりのおいしさに意識はすぐにケーキへ戻った。 「おいしい…!」 クリームとイチゴの相性が抜群で、一口入れた瞬間頬っぺたがとろけそうになった。 生クリームは甘さ控えめでフワっとしている。スポンジは固めで、生地自体が甘い。 イチゴは本当にたくさんあり、計10個くらいは使われているだろう。 感激しながら黙々とケーキを食べる僕を、生駒くんはコーヒーを飲みながら眺めていた。 途中でそれに気づき顔を上げると、彼はぷっと吹き出し右頬を指差す。 「クリームついてんぞ」 「え?あ。ありがとう」 「ほんとペロッと食べるな。しかも美味しそうに」 「だって美味しいから」 そう言って笑うと、生駒くんは僅かに目を見張り、次には苦笑いを浮かべた。 「その笑顔はやばいな」 「え。……気持ち悪かった?」 「なんでそうなんだよ。あーあ。シンのやつもこのスマイルで落とされたんだな絶対」 一人で納得している生駒くんに首をかしげる。 慎太郎くんがなんだろう。 落ちたって?どこから? 理解できていない僕に、彼はもう一度苦笑いを浮かべ「なんでもねーよ」と誤魔化されてしまった。

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