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ワンコ系男子6

それから掃除もひと段落し、最後に一人がゴミ捨てに行くことになった。 ジャンケンしたら見事に僕が負けて一人で運ぶ。名塚くんが手伝おうとしてくれたけど、申し訳なくて断った。 それから体育館に一旦戻ってくると、中には誰もいない。もうみんな帰ってしまったようだ。 僕も教室に戻るため踵を返そうとした時、ふと視界にバスケットボールが入った。 体育館の端っこにあり、仕舞い忘れたものだろう。 僕はそれを片付けるため、もう一度体育館の中に入る。 そしてボールを手に取った時、また懐かしさが込み上げてきた。 手に馴染む感触が心地いい。 今までずっと手元にあったそれは、今では遠いものになってしまった。 もちろん悲しいとは感じるけれど、部活に入ろうとはやっぱり思えない。 僕のせいでもし部活に迷惑がかかったらと思うと怖くて、気が進まなかった。 でも、一回くらい……いいかな。 軽く一本シュートするだけ。 そしたらすぐに引き返す。 そう自分を説得して、ボールを構えた。 その時ふと思い至って、眼鏡とマスクを外す。 今まで通りシュートをしてみたくなったのだ。 体育の時はどちらとも付けていたから、やり辛く感じていた。 久しぶりにクリアな視界でシュートを打ちたい。 気を取り直して構え直す。 少し遠くのゴールを見据え、力を抜き、流れるようにボールを放った。 曲線を描きながら、それが正確に飛んでいくのを静かに見つめる。 次にはシュッとネットの中を通過したボールは、タンッと地面をバウンドして転がった。 やっぱりいいな。 まだ感覚が残っていることを確かめられて、少し満足する。 そうして教室へと戻ろうと振り返った僕は、次にはビシィ!と音がしそうなほどに硬直した。 そこには、目をまん丸に見開いた名塚くんがいた。

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