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芽生える想い8

「フッてして、スッとして、シュッ!」 力の取れたいいフォームで放たれたボールは、綺麗な曲線を描きゴールに入った。 5本中4本。これは大分安定してきたと思う。 「スゲー!また入った!ねっ、見た見た!?」 「はいはいちゃんと見てたよー。すごいすごい」 キラキラと目を輝かせて興奮している名塚くんに、志音くんは微笑ましげな目を向けて拍手をした。 擬音での説明をして、目の前で何度かシュートを見せる。 それだけで彼は一気に上達した。流石飲み込みが早い。 「あとは試合中にこれができるようになれば言うことないと思う。基礎がついてこれば他のプレーにもメリットはあると思うよ」 「はい!いっぱい練習するッス!ありがとう師匠!」 「ワンコくん、いい加減口調を統一しなよ」 こんなに喜んでくれると、やってよかったと思えるものだ。 脱いでいたジャケットを着る。 夢中でやっていたら暑くなってしまったのだ。なんか少し小っ恥ずかしくなる。 「名塚くんは、本当にバスケが大好きなんだね」 そう言うと、名塚くんはこちらに顔を向けてすぐに満面の笑みを浮かべる。 「うん!ちょー好き!!」 おお、眩しい…。 慎太郎くんの笑顔は陽だまりのようだけど、名塚くんの場合は直射日光だな。 なんだか微笑ましくて僕も笑みを浮かべる。 「そっか。僕も好きだよ」 そう告げると、何故か彼はピクッと体を硬直させた。 次には顔を赤らめてあたふたし始める。僕はどうしたのかと首を傾げた。 そんな2人の光景に、志音は「あちゃー」と額に手を当て何かを悟るのだった。

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