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文化祭5

とあるカフェでカフェラテを飲む志音は、目の前でテーブルに突っ伏す虎介に困り果てていた。 積み上げられた皿は6枚を超えている。 そのどれもがショートケーキが乗っていたものだ。それらは全て、虎介の胃の中にへと消えている。 携帯に会えないかとメッセージが送られてきたので来てみれば、いきなりケーキを爆食いし出した虎介に志音も店員も驚かされた。 その後はこうして意気消沈してしまって、相談したいと言っていたのに全く話が始まらない。 「あの、虎くん?一体何があったの?」 耐えきれずに切り出すと、少し経ってから弱々しい声が聞こえてきた。 「……志音くん。慎太郎くんって、僕のこと嫌いなのかな…」 「え?」 唐突な問いに目を瞬かせる中、虎くんは完全にしょぼくれモードに入ってしまっている。 呆気にとられた僕の反応にも気付かずに、彼はブツブツ話し続けた。 「確かに気をつけてって言われたのに名塚くんと会っちゃったのは悪かったよ?でもだからってジュリエットをやらそうだなんて酷いじゃないか。僕みたいなマスクマンができる役割じゃないし、無理に決まってるよ…。ああもういっそショートケーキの食べ過ぎでぶくぶくに太りたい…、いやいっそお腹を壊してしまいたい…、壊したことないけど…」 「……うん。ごめん。全然話に付いて行けてない」 それから要所要所を質問して、なんとか大まかなことを把握できた。 それにしても、シンも大胆なことをする。 ハッキリ言えばらしくない。正直その場を見てみたかった気もするが、あまりに虎くんが落ち込んでいるので言わないでおいた。今は少しの冗談でも逆効果だ。 沈んでいる彼の頭に手を乗せ、よしよしと撫でてあげる。 虎くんを見ていると、どこか放っておけない気持ちにさせられる。弟感があるというか、庇護欲をくすぐられるのだ。

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