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ロミオとジュリエット
ロミオとジュリエット。それはシェークスピアの作り上げた悲劇だ。
ヴェローナの2つの名家、キャピュレット家とモンタギュー家は仇敵同士であった。
ところがモンタギュー家の一人息子ロミオと、キャピュレット家の一人娘ジュリエットとが出会い、互いに一目惚れしてしまう。
神父のロレンス修道士は「この縁組」が両家の和解を導くこともあろうかと、一肌脱いで二人をひそかに結婚させた。
しかしロミオは喧嘩に巻き込まれジュリエットの従兄弟ティボルトを殺し、ヴェローナを追放される。
一方、ジュリエットは大公の親戚パリス伯爵との結婚を両親に命じられた。
修道士は一計を案じ、ジュリエットを薬で仮死状態にして葬らせ、蘇生後にロミオと駆け落ちさせようとする。
ところがロミオは、その手はずを知らないまま、ジュリエットの死の知らせを受けると墓に駆けつけ、毒薬をあおって死んでしまう。
そして目覚めて彼の死を知ったジュリエットも短剣で自殺してしまい、物語は幕を閉じる。
僕は小説をよく読むので、シェークスピアの作品も読んだことがあった。
ロミオとジュリエットは戯曲だが、その物語に引き込まれ夢中で読んだのを覚えている。
しかしクラスの何人かはあらすじ自体よく知らなかったようで、その物語の結末に驚いていた。
「二人とも死んじゃうとか悲しすぎじゃん!」と声を上げるみんなに、いやだからこの物語は悲劇だから……と内心汗をかく。
結局文化祭でやるならハッピーエンドがいいだろうということになり、ロミオとジュリエットが結婚をするところまでで終わらせようという話になった。
それから一週間後の業後の準備時間。脚本が出来上がったらしく、今日から演技をつけていくらしい。
それを聞いて僕は小さく溜息をついた。
演技をしている間はいいだろうが、する前とした後が地獄だ。これは素に戻ったら終わりだな……と一人項垂れる。
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