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ロミオとジュリエット5
「役柄的には優璃と似てると思うけど。お姫様を横取りしようとするタチの悪い泥棒的な」
「あ?」
慎太郎くんのまるで挑発のような発言に、生駒くんが鋭い眼光を彼に向ける。
こ、これは、一触即発!?
なんとかしなければと僕が口を開く前に、志音くんが動いた。
2人の間に割り込み引き離す。
「もうっ。虎くん怖がってるから!」
それにピクリと反応した2人は大人しくなった。
すごい、流石は志音くんだ。
僕は何故か感動して、パチパチと拍手を送っていた。
「なんで拍手?」
「いや、なんとなく?」
それから時間は過ぎていき、どんどんと文化祭が近づいてきていた。
そしてついに明日が文化祭当日。
今日は朝からずっと雨が降っていた。
劇の練習を終え、2人は帰路につく。
すっかり文化祭一色になった学校を出て、駅までの道を傘を並べて歩いて行く。
口下手な僕だが、話し上手の慎太郎くんといるとたくさんお喋りができる。それは彼が僕に話を振ってくれたりするおかげだ。
本当に慎太郎くんは凄いと思う。気を配れて、要領が良くて、僕にはないものを全部持っている。
初めて彼を見た時から、ずっと憧れていた。
まるで太陽のように眩しくて、僕とは住む世界が違い過ぎると感じていた。
だから決して交わることはないと思っていたのに……。
今こうして彼の隣を歩いていると、なんだか不思議な気分にさせられる。
声をかけられるようになった当初は、何度も夢なのではと疑って頬をつねったものだ。
「虎介?どうかした?」
「!」
思い出に浸っていると、いきなり顔を覗き込まれた。
急に縮まった距離に鼓動が跳ねる。傘の持ち手を掴んだ手に力が入った。
「え。どうかしたって……なんで?」
「いや、なんか微笑んでた?ように見えたから」
「へっ?」
言われて咄嗟に手で口元を覆う。
うそ。僕ニヤニヤしてた?
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