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ロミオとジュリエット7
「いやーホント驚いたわ。ってちょとシン!私はお茶じゃなくてビール!」
「お前絡み酒だから駄目ッ」
「……」
どうしてこうなった……?
気付けば慎太郎くんのいとこであるという結衣さんに連れられ、僕たちは彼女の家に来ていた。
さっきの場所から徒歩5分のアパートの4階。
何故僕まで連れられてきたのか分からずカーペットの上で正座していると、お茶を運び終えた慎太郎くんが隣に座り胡座をかいた。
「ほんとお前っていきなりだよな。虎介怯えちゃってんじゃん」
「確かに迷子の子犬みたいになってるわ。ごめんね〜、いきなり家まで連れてきちゃって」
そうあっけらかんと笑う彼女に、僕は汗を流す。
彼女は北村結衣さん。慎太郎くんのお父さんのお姉さんの子供らしい。
彼女のお母さんは親の反対を振り切って夫さんと駆け落ちし、結衣さんを産んだ。だから羽純家とは絶縁状態なのだとか。
結衣さんの逞しさは、きっと彼女のお母さん譲りなのだろう……。
思わず苦笑いを浮かべていると、隣の慎太郎くんが僕に耳打ちしてきた。
「こいつ2ヶ月前に遠距離恋愛してる彼氏の様子がおかしいって言って、北海道まで行ってたんだよ」
「えっ。様子って、病気とか……?」
「いや、浮気してるんじゃないかって」
「へ、へぇ……」
遠距離恋愛なのに、浮気とか分かるものなのか。というかその疑いだけで北海道までって、行動力が凄い。
「で、結局どうしたの?」
「別れたわよ。あのクソ野郎みっともなく縋り付いてきて、男ならもっとシャンとしなさいっての!」
悪態を吐いてお茶を一気飲みする結衣さん。
なんかこの感じ、少し父さんと似てるかも?
「って、そんなことはどうでもいいの」
切り替えるようにパンッと手を合わせた結衣さんは、ニコニコとした笑みを僕に向けてきた。
「ちょっと話聞きたくてさ。シンのくせに少し見ない間に随分と親しげな子作ってると思って」
「くせにってなんだ」
「だってあんたのスタンスは広く浅くでしょ?それがあんなに親密そうに」
そ、そんなに親密そうだったかな……?
確かにあの時は、慎太郎くんが僕の顔を覗き込んでいたから距離が近くなってたけど……。
こうも面と向かって指摘されると小っ恥ずかしい。
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