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ロミオとジュリエット13
「……電話、大丈夫だった?」
聞くか迷ったが、彼から切り出すことはないと思い尋ねる。
それに慎太郎くんは苦笑すると、明るい声で答えた。
「いやー、結衣のせいで今日あった予備校サボっちゃったからさ。母親が煩くて」
「……そっか」
酷いことを言われたのだろうか。
このまま家に帰って、慎太郎くんは平気なのかな。
そんなことをグルグル考えていると、隣で彼がくすりと笑った。
何かと思い顔を向ける前に頭に手を乗せられる。歩みを止め今度こそ慎太郎くんを見ると、彼は優しく微笑んでいた。
その笑みは知っている。
さっきまでとは違う、彼の本物の部分。
「ありがとう虎介。俺は平気だから、そんな顔しないで」
僕の頭を撫でる手に、とても安心する。
心地よくて、もっと触れて欲しくて、強く実感するんだ。
──彼が、心底愛おしいって。
「……明日だね、文化祭」
夜空に散らばった星を見上げて、慎太郎くんが再び歩き出す。
彼と見る星空はとてもキラキラ輝いていて、胸のあたりに熱を帯びた。
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