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実る想い14
小学生の時、優璃はよくボロボロになっていた。
シンに張り合ってる優璃を、周りが生意気だとイジメていたのだ。
家が隣同士で、よくご飯を食べたりする僕と優璃は、家族みたいなものだった。
だからそんな優璃の姿を、僕はずっと側で見ていた。
『バカじゃないの。どんだけ頑張ったって、何にもならないのに』
ある時、バカな優璃に情けのつもりで言ってやったことがある。
それを聞いたボロボロの幼馴染は、キッと僕を睨みつけて犬みたいにキャンキャン吠えた。
『うるせーな!そんなのわかんねーだろ!?』
そうして立ち上がって、そのバカは言い放つ。
『見返してやる!俺のことバカにしたやつみんな!』
『お前もな!』と付け足す優璃。
頭悪いくせに、僕よりチビのくせに、ボロボロのくせに、なんでそこまで頑張れるの?
『……やっぱバカ』
『なにをー!』
僕には無理だ。そんなに必死に何かをやったりできない。
不覚にも、優璃が羨ましいと思った。
だから僕は……
「……なんでもシンと比べなくていいんだよ」
僕の言葉に、優璃が僅かに肩を揺らした。
そしてやっとこちらを見たかと思ったら、盛大に顔をしかめる。
「志音が優しい。怖い 」
「黙らっしゃい」
「いてっ」
撫でていた頭を引っ叩き、強引に手を繋いだ。
「ほら、帰ろ」
「……おう」
優璃はまだまだ僕がいないとダメなんだ。
だからずっと側にいる。
僕の支えがいらなくなるまで、ずっと。
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