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甘露8
目の前でトレーナーを脱ぐ慎太郎くんに、僕はつい見惚れてしまう。
程良く筋肉のつく体はとても綺麗で、ひょろっちぃ僕には羨ましくて仕方ない。
「おいで」
両腕を広げた慎太郎くんに、僕はおずおずと身を寄せた。
すっぽりと腕の中に入ると、ぎゅっと抱きしめられる。
そのままゆっくりとベッドに倒され、慎太郎くんが僕に覆いかぶさった。
「慎太郎、くん……」
「大丈夫。怖くないよ。大丈夫だから……」
そう囁きながら、僕の手を握ってくれる。
すると彼のもう片方の手が、僕の太腿をさらりと撫でた。
途端「あ……っ」と甘い声が出てびっくりする。
不意をつかれて羞恥心に悶えていると、慎太郎くんがクスッと笑って僕の耳元で囁く。
「気持ちい?」
「わ、かんない……っ」
こそばゆいのか何なのか、不思議な感覚に体がピクピクと震えてしまう。
次には首筋に温かいものが這わされた。
「やっ」と幼子のように慎太郎くんに縋り付くと、また耳元で彼はクスッと笑う。
「虎介、かわいい」
「!」
なんだこれ、なんだこれ。
恥ずかしくて今にも死んでしまいそうだ。
心臓が破裂しそうで、苦しくて仕方がない。
でも、彼から離れたくない。
「肌綺麗だね。手に吸い付くみたいだ」
「ぁ、ん……っ」
彼の手は太腿、腰、脇腹へと伝っていく。
艶かしいその手つきに、嫌悪感は感じなかった。
寧ろ快感が膨らんで、頭の芯をぼやけさせる。
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