162 / 216

甘露10

「んぁ……っ」 腰を震わせる虎介を慎太郎は愛おしそうに眺め、またそっと指を這わせる。 やがてゆっくりと揉むように中心を刺激すれば、虎介は慎太郎にしがみ付きいやいやと首を振った。 「まって……っ、それやだ……!」 「んー。なんでやだの?」 「んんっ、あ、やぁ……っ」 愚図るような声には、ひどく艶めかしい響きが混じっている。 体を熱らせ震える虎介に、慎太郎は熱い吐息を漏らした。 口付けをしながら下着を脱がされ、虎介は反射的に足を閉じる。 その太腿に手を這わせ、慎太郎は虎介の耳に唇をくっ付けた。 「隠しちゃだめだよ」 「……っ」 触れるほど至近距離で囁かれ、首筋に甘い痺れが走る。 おずおずと慎太郎を見上げると、目があった彼は優しく微笑んだ。 「虎介。お願い」 「っ、う、うぅー……」 ずるい。こんな風に言われて僕が逆らえるわけないのに。それを分かってて彼は言っている。 謎の敗北感を感じながら、虎介は恐る恐る足の力を抜いた。すると慎太郎は嬉しそうに笑みを浮かべて、僕の足を左右に開く。 ああもう、こんなに恥ずかしいことってない。きっと今僕の顔はタコみたいに真っ赤っかだ。 両手で顔を覆うと、慎太郎くんが手の甲にキスをしてくる。 さっきから思ってたけど、彼はキスが好きなのだろうか。何度も口付けられている僕は、なんだか居た堪れなかった。 その時、慎太郎くんが何かごそごそしているのに気付いて視線を向ける。 彼はボトルから出した液体を手に垂らしていた。 一瞬ハテナマークが頭に浮かんだが、なんとなく察しがついてカァッと顔を赤らめる。 え。でもそれどうするの? というかこれから何をするの? 知識も何もない僕は、ぐるぐると回る思考に混乱する。

ともだちにシェアしよう!