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不穏なもの3

「そういえば、志音くんはなんでメイド喫茶に?」 「え?」 突然話を振られ、志音は我に返りパチパチと目を瞬かせる。 虎介は端的すぎた問いに「あ、ええっと」と急いで言葉を付け足した。 「だって、志音くんって自分からこういうことするタイプに見えないっていうか。ちょっと意外だなって思って」 「あぁ。まぁ進んでではなかったけど……」 苦笑いを浮かべる志音に、虎介はやっぱりそうなのかと思う一方で、なおさらの疑問を尋ねる。 「じゃあ、なんで?」 「……いや、これは、その……」 「?」 途端もじもじし出す志音に、虎介はこくりと首をかしげる。 何か訳ありなのだろうか。 益々気になってじっと志音を見つめていると、やがてポツポツと彼にしては力のない声で話し始めた。 「ゆ、優璃が……」 「生駒くんが?」 「メイド姿って、可愛いよなって……、言ったのを、き、聞いたから……」 「……」 顔を赤らめてモニョモニョと話す志音。 その姿を真顔で見つめていた虎介は、次の瞬間、ブワァッと涙を噴き出した。 「え、えぇ!?ちょっ、虎くん!?」 「なんてっ……なんて直向きなんだ志音くん!僕はっ……僕は感動したよ!!」 感極まっている虎介のボロボロ流す涙を、咄嗟にハンカチを取り出した志音が拭ってあげる。 やっぱり虎くんって、弟みたいな感じなんだよなぁ。 放っておけなくて、純粋無垢で、心の澄んだ、僕の周りを考えたら物凄く希少価値のある存在。 でも、なんだろう。 今日、虎くんと会って、なんだかいつもと違う感じがするんだよな。 なんというか、少し、大人びた? 「ああっ、分かった!」 「へぁっ?」 突然声を上げた志音にビクつく虎介。 目を大きく見開く相手に、志音はニヤリと不敵な笑みを浮かべると再び頬杖をついてじーっと虎介を見つめた。

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