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不穏なもの6

そう意気込んで、僕は足を踏み出した。  ガチガチになりながら彼らの元へ向かい、思い切って声をかける。 「あ、あの!ナニヤッテルンデスカ!?」 その声に気づいた3人の視線が、僕に集中した。もともと注目されることが苦手な僕は、ビクッと体を揺らして後ずさる。 慎太郎くんが驚いたように目を見張る中、金髪の人が「あぁ?」とこちらを睨みつけてきた。 それにヒィッと怯える僕に近寄って来た彼は、ジーッと凝視してきたかと思えば両手で顔を挟まれる。 「なにこいつ、かわい」 「!」 「コラ、やめんかアホ」 「イテッ!?」 真顔で言われてビクついていると、次には金髪の人の頭にドスッと手刀が入れられた。 手を離された僕が呆然としていると、慎太郎くんに顔を覗き込まれる。 「虎介、大丈夫?」 「え?あ、……うん」 答えながら頭を抑えて痛がる金髪さんを見る。どうやらさっきの手刀は黒髪の人がやったようだ。 「ってー……!何するんスかタツさん!」 「今のはお前が悪りぃ」 慎太郎くんに肩を抱き寄せられた状態でポカンと2人のやりとりを眺めていると、金髪さんがこちらにバッと顔を向けてきた。 それにビクつく僕をさらに抱き寄せて、慎太郎くんが不機嫌な声を出す。 「いきなり何すんだよ、バカサク」 「はぁ?なに。お前その子の知り合いなの」 繰り広げられる会話にすっかり置いてけぼりの僕が呆然としていると、それに気づいた慎太郎くんが口を開く。 「あぁ、ごめん虎介。2人は、俺の知り合いなんだ」 「知り、合い……?」 「うん。中学時代の知り合い」 そう言われて驚いた。 彼にはこういった知り合いもいるのか。 そういえば昔は荒れてたって言ってたし、それが関係しているのかもしれない。

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