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不穏なもの7
金髪の人は柏木 朔弥 さん。歳は17で、僕らより1つ歳上らしい。
黒髪の人は北村 逹己 さん。歳は21で、碧兄と同い年のようだった。
2人とも今は違うにしても、昔はかなり荒れていたらしい。
よく不良さんたちから喧嘩をふっかけられては、3人でボコボコにしていたとかなんとか……。
軽く3人の関係性について説明された僕は、そうとは知らず勘違いしてしまったことを詫びた。
ペコペコ頭を下げる僕に、北村さんは「怯えさせて悪かったな」と逆に謝罪をしてきた。
接してみると、彼は一見怖そうに見えたが声音も表情も穏やかだ。というか大人びた感じとか凄くカッコいいと思う。頼れる兄貴って感じだ。
柏木さんも綺麗な顔立ちだとは思うけど、まだ不良っぽい感じが残っている気がする……。というかバリバリ現役感が凄い。
「にしてもなんだ。ホント、スゲー美人じゃん」
「え。あ、あの……」
顔をマジマジと覗き込んでくる柏木さんに汗を流していると、再び北村さんの手刀が入る。
柏木さんはまた痛そうに頭を抑えて「ひどいッスよタツさ〜ん」と非難の声を上げていた。
「うるせぇ。お前にはデリカシーってのがなさ過ぎる」
「え?俺なんかしました?」
「朔弥。お前相変わらずだな……」
「へ?」
完全に心当たりがないという顔をする柏木さん。
慎太郎くんは一度溜息をつくと、僕に耳打ちをした。
「朔弥って、デリカシーってのが皆無なんだ。KYで相手の気持ちとかに究極なまでに疎い」
「へ、へー……」
「そのせいで無駄な喧嘩を売られたのも一度や二度じゃないよ」
「ご、ご愁傷様です……」
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