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幸運なもの5
「あの。一体何の話なのかな?」
僕らの会話に更に首を傾げる慎太郎くん。
そんな彼の問いに、生駒くんが楽しそうに返事を返そうとした。
「あーそれがな、実は虎ちゃんって……」
「わー!」
いきなり暴露しようとする彼の言葉を遮って声を上げる。
教えるにしても自分のタイミングで言いたいし!まだ心の準備ができてないし!
もー!もー!と半泣き状態で生駒をポカポカ叩く虎介。
生駒も可笑しそうにケラケラ笑い、まるでその様子は戯れているかのよう。
そんな光景を面白くなさそうに慎太郎は見ていた。
隠しもせずに顔をしかめる彼に、志音は余計ニヤニヤし出す。
ついに我慢できなくなった慎太郎が、虎介を抱き寄せた。
完全に不意をつかれた虎介はぽふんっと彼の胸に顔をダイブさせる。
香ってきた甘い香りにほわんとした虎介だったが、すぐに我に返り顔を上げた。
「ど、どうかしたの……っ?」
「……蚊帳の外感すごいから、説明して」
「え。あ、……はい」
断りきれずに頷く虎介。
チラリと向かい側の2人を見れば楽しそうにニヤついていたので、僕は頬を膨らませて「もう!」と眉を寄せた。
「酷いよ、虎介」
説明し終わった後の第一声がそれで、僕はピキリと固まった。
やっぱり引いた?幻滅した?
どうしよう。なんか慎太郎くん怒ってるし、そんなに不快にさせちゃったのかな?
もう泣きそうとかどうとかではなく、ただただ固まるしかできない。
そんな僕を慎太郎くんは怒りの滲んだ瞳で見つめていた。
「あ、あの、慎太郎く……」
「そんなことで俺が虎介を嫌うとでも思ったの?」
「……え」
ポカーンと口を開く僕を、慎太郎くんは未だ怒った様子で見つめている。
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